個人事業主にとって重要なのはなんといっても節税対策ですよね。節税に成功すれば支出が少なくなり会社の安定化につながります。でも「節税は難しい」と思っている人も多いのではないでしょうか。この記事では比較的簡単にできる節税対策をご紹介します。
1.個人事業主の税金対策1:中古車や保険で対処する
個人事業主ができる節税対策の一つは中古車を買うことです。もちろんこれは必要のない車をわざわざ買うという意味ではなく、車を必要としている場合に新車ではなく中古車の方が良いという意味です。どういうことかと言うと、中古車の方が多く経費に計上できるからです。
新車の場合は6年かけて経費で落としていくことになりますが、それだと少額ずつしか経費に入れられません。一方中古車の場合は法定耐用年数が短いためより計上できる額が多くなります。購入費用を法定耐用年数で割ったものが計上できる経費額になるからです。
例えば新車登録から3年経った中古車は法定耐用年数が3年になり、4年経った車は2年となりますが、仮に180万円の車がある場合、3年落ちなら60万円、4年落ちなら90万円の経費が計上できます。180万円の新車なら30万円ずつになるので中古車の方が経費計上するうえでメリットがあります。
保険でも節税できる
保険や共済を使った節税方法もあります。例えば個人事業者にとって強い味方になるのは「小規模企業共済制度」です。この共済制度は「中小企業基盤整備機構(中小機構)」が運営する「小規模企業向けの退職金制度」のことです。
この制度では個人事業主が将来事業を廃止した場合や役員が退職した場合に共済金を受け取れますが、毎月の掛け金は所得から全額控除されるので節税につながります。
しかも共済金は差し押さえの禁止対象になっているので、将来の生活設計という意味でも掛けておいて損はありません。ちなみに積立金の範囲内であれば事業資金の貸し付けを受けることも可能なので、個人事業主にとってはその意味でもありがたい制度です。
2.個人事業主の税金対策2:経費枠を多くする
税金は必要経費を課税対象とはしないので必要経費として計上する部分が税金を大きく左右すると言えます。そこで重要なのが必要経費をできるだけ多く計上するということです。多くすると言っても出費を増やすということではなく、必要経費として申告する部分を最大にするということです。
例を出してこの点を説明しましょう。例えばある個人事業主が1千万円の事業収入を得たとします。その事業をするためにかかった諸費用は500万円で税率が10%の税金があるとします。仮に全く必要経費を計上しなかった場合と500万円計上した場合ではどのように税金が変わるかを見てみましょう(控除額はノーカウントとする)。
■経費計上0円の場合
1,000万円×0.1(10%の税金)=100万円
■経費計上500万円の場合
(1,000万円-500万円)×0.1=50万円
これを見ると必要経費を計上したほうが50万円の節税になるということが分かります。経費を全く計上しなかった場合は収入の1,000万円から500万円を引いて500万円になり、さきほど計算した税金の100万円を引いて手元に残るのは400万円です。一方経費を計上した場合は税金は50万円なので手元に残るのは450万円となります。
このように支払っている経費をしっかり申告する方が税金は少なくなります。もちろん実際はこんな単純な計算にはなりませんが、事業のために支払った出費をしっかり申告しておくと節税になり、広い意味では経費削減になると言えます。経費計上に関しては税理士などプロのアドバイスを受けることでさらにお得な節税対策ができます。
3.個人事業主の税金対策3:免税事業者になる
消費税に関しても節税が可能です。通常消費者が物を買う時には消費税が発生しますが、事業者はサービスや製品を販売した時に消費税を上乗せした価格を消費者から一時的に預かり、後で決まった時期に納税します。しかしこれには例外があります。
前々事業年度年(2年前)の課税売上金額が1,000万円以下の小規模事業者は、「免税事業者」として消費税納税を免除してもらえます。前々事業年度が起点なので、かりにたくさんの売上が高額であっても開業から2年間は免税事業者ということです(前年の1月〜6月の「特定期間」に課税売上と給与支払額の両方が1,000万円超なら課税事業者になる)。
中小企業庁の「中小企業白書2016年付属統計資料」によると、全国380万企業の中で320万は小規模企業で、さらに160万以上は売上1,000万円未満です。ですからかなりの小規模企業が免税事業者と推測できます。
この制度のポイントは免税事業者であっても客から消費税を受け取ることができ、その分は納税せずに会社に利益にできることです。不思議な話に聞こえるかもしれませんが税法的に問題ありません。
ただし注意点があります。客から預かっている消費税よりも事業者自身がサービスや製品の準備のために負担した消費税の方が多い場合は消費税の還付を受けることができますが、免税事業者はこの還付を受けられません。ですから免税事業者になるよりも通常の課税事業者になる方が良いケースもあるので注意しましょう。
免税事業者になる方がいいのかどうかを知るには経理の知識も関わってくるので、プロの税理士などに相談することをおすすめします。
4.まとめ
個人事業者ができる税金対策について見てきました。中古車の購入や保険の活用、経費枠を増やすことなど実践できるポイントはいくつもあります。税金は大事なものとはいえ事業主としてはできるだけ税額を少なくすることが使命です。一度時間を取って現在の事業のどの分野で節税を達成できるか税理士と相談して考えてみると良いでしょう。