会社が経費削減する方法はたくさんありますが、有効な経費削減方法の一つがペーパーレス化を進めることです。ペーパーレス化とは名前の通り紙の消費を少なくすることですが、どのようなコストカットメリットがあるのか見ていきましょう。

1.ペーパーレス化で経費削減した例

ペーパーレス化で経費削減した例

まずはペーパーレス化をすることによって経費削減に成功した例を見ていきましょう。

・PFUの事例
「PFU」はイメージスキャナ生産で世界トップシェアを誇る会社です(富士通の子会社)。この会社は2014年からペーパーレス化を進めて業務の電子化をする取り組みを行っています。もともとスキャナ生産のノウハウがあるので徹底したペーパーレス化を実現したようです。

ガイドラインを定めて全社でペーパーレス化を進め最終的に紙の文書を92%も削減できたようです。さらに、会議でも80%をペーパーレス化することでインクや用紙代のコストカットも図っています。本社以外でも取り組みを進めて紙⽂書の84%を削減しました。

・西松建設の例
土木事業や建築事業、開発・不動産事業を営んでいる西松建設もペーパーレス化を進めた会社の一つです。この会社は250万枚の会議資料を削減して、コピー用紙代をなんと10分の1にすることに成功しました。「moreNOTE」というペーパーレスシステムを導入して作業効率もアップしたようです。

・青森県弘前市役所の事例
会社だけでなく自治体でもペーパーレス化によるコストカットに力を入れています。この市役所では「MetaMoJi Share for Business」というペーパーレス会議システムを導入しました。幹部会議をペーパーレス化した結果、導入の翌年度の平成29年度には会議資料に使う紙が約14,000枚、紙代とトナー代で約142,000円の削減となったようです。

・ベスト電器の事例
家電量販店チェーンのベスト電器では以前膨大な量の紙媒体文書を使っていました。そのため用紙コストや配送費や保管・管理の手間やコストが膨大でした。そこでクラウドワークフローシステムの「X-Point」を導入した所、稟議書関連で使っていた数万枚の用紙や保管スペース、さらには配送コストを削減できました。

このようにペーパーレス化を進めることで多くの企業が経費削減に成功しています。1枚の紙ではたいしたコストではありませんが、何百枚、何千枚、何万枚となるとかなりのコストになります。ITツールや様々なモバイル端末が登場してきているので、早いうちからペーパーレス化を進めるとベターです。

2.ペーパーレス化による経費削減以外のメリット

ペーパーレス化による経費削減以外のメリット

ペーパーレス化には経費削減以外のメリットもあります。例えば以下のようなメリットが挙げられます。

・資料が管理しやすい
紙の文書だと大量の書類に埋もれていたり、きちんとファイリング化されていなければ見つけにくいですよね。データ化すると特定の資料をすぐに探し出せるようになります。さらに書類がきちんと管理されていても、書類棚や書類倉庫にわざわざ出向いて書類を探し出すという手間が発生することがありますが、ペーパーレス化で電子形態で文書を保管すればパソコンから簡単にアクセスできます。

・管理スペースが少なくなる
大量の書類は意外とスペースをとるものですが、ペーパーレス化すれば小さなメモリやストレージに大量の書類を収納できます。ペーパーレス化によってオフィスがきれいになります。

・エコロジーになる
大量の紙を生産するには大量の木を伐採する必要がありますが、ペーパーレス化すれば地球の資源を無駄に浪費することがありません。また、ペーパーレス化によって地球環境にやさしい業務をしていることをアピールすれば、企業としてアピールできます。社会的評価がアップすればクライアントの増大や売上アップ、融資や助成が受けやすくなるなど様々なメリットがあります。

・セキュリティ対策
紙の資料は簡単に盗みやすいというデメリットがありますが、強固なパスワードに守られた資料であれば盗用リスクが減ります。またきちんとバックアップしておけば紛失や焼失などの被害も出ません。ID管理などをして誰がいつ閲覧したかも分かるようにすれば改ざんリスクや持ち出しリスクなども回避できます。

経費削減以外のメリットの事例

さきほど経費削減の事例として紹介した企業や自治体でも経費削減以外のメリットを感じています。その例をご紹介しましょう。

・PFUの場合
ペーパーレス化を進めて紙がほとんどなくなった現在は、デスク周りが片付いてすっきりしたようです。結果的に清潔感のある風通しの良いオフィスになったと満足しています。さらにデータ化とクラウド保存を取り入れることによってデータの検索と閲覧がスムーズになり業務効率も大幅にアップしたようです。

・西松建設の事例
ペーパーレス会議システムを導入した結果、会議資料の視認性が高まったようです。以前は経費削減のために白黒コピーをしていましたが、タブレットを使うことによって経費を気にせずカラーで資料を閲覧でき、しかも画像を拡大できるので視覚的にわかりやすい会議になりました。

事務局の仕事も大幅に削減されました。会議ごとに大量の資料を用意する手間がかなりかかっていましたが、大人数分の資料印刷や配布の手間がほぼゼロになり、直前の資料差し替えにも簡単に対応できるようになりました。時間的なゆとりが生まれたり、海外や支店などでの複数拠点開催の会議資料展開が改善しました。

・青森市役所の事例
青森市役所も会議資料の準備の工数が減少したようです。以前は準備に毎回3時間程度はかかっていたようで事務局職員が残業することも多々ありましたが、今は負担がほぼなくなっていて資料修正や差し替えも簡単にできるようになりました。

このようにペーパーレス化によってインクや紙代のコストカットが実現できることはもちろん、時間や手間といった部分での簡略化が達成できています。業務量が多くなればその分人件費がかかってくるので、これらのメリットも間接的に経費削減につながると言えるでしょう。

3 .まとめ

ペーパーレス化は経費削減の基本的な方法です。現在は便利なネット技術やサービスがたくさんあり、業務効率化に役立つクラウドやITツールなどが豊富です。ペーパーレス化にはメリットがたくさんあるので、できるだけ早く導入の検討を行うようおすすめします。