会社が安定した経営を実現するには、魅力的なサービスや商品を紹介するだけでなく経費削減を徹底的に行う必要があります。この記事では運送業、美容院、ホテル、工場という事業別の経費削減のポイントを紹介したいと思います。
1.運送業の経費削減ポイント
まずは運送業の場合を考えてみましょう。運送業は日本の血液とも呼ばれる大事な業態ですが、人材の確保や交通事故などによる損害賠償のリスク、燃料費の高騰など様々な問題を抱えています。ですから経費削減は命題でしょう。運送業では以下のような経費削減対策が取れます。
・タイヤの種類やローテーションに気を遣う
運送業の命ともいえる車両に気を遣うことで経費削減ができます。例えば、消耗品であるタイヤを少しでも長持ちさせることで交換費用を先延ばしできます。タイヤにはバイアスタイヤとラジアルタイヤがありますが、ラジアルタイヤの方が燃費が良いためこちらを選択すると良いでしょう。
また、タイヤローテーションすることでタイヤの摩耗を均等化できます。前後のタイヤを入れ替えるだけで長寿タイヤになりますが、作業を自分たちで行うことによってさらに経費削減になります。タイヤについてもう一つ意識できるのは空気圧です。空気圧が低いと燃費が悪くなりますし、破裂の原因にもなります。空気圧を適度に保つことでかなりの節約になります。
・デジタコの導入
デジタコ(デジタルタコグラフ)の導入もポイントです。デジタコは車両に搭載する運行記録計で、ドライバーや運転方法について詳細な情報を確認できます。運送会社における勤怠管理に役立つグッズですが、国土交通省も運用を奨励しています。
デジタコを導入することで事故を防ぐための対策ができるので、保険料に関するコストも安くできますし、燃費改善効果もあります。さらに、経営合理化につながって従業員や時間を効率的に管理できるようになります。
2.美容院の経費削減ポイント
美容はいつの時代でも人々の生活に密接に関連していますが、美容院では消耗品を多く使うため経費削減には苦労するかもしれません。美容院業界では以下のような基本的なポイントを意識できるでしょう。
・デジタルツールでペーパーレス化を図る
美容院でよく見かけるのは会員カードや美容カルテですよね。会員カード1枚のコストはたいしたことはありませんが、何百枚も使っていたのでは印刷代や用紙代がかさんできます。またダイレクトメールを出したり、美容カルテを何枚も使ったりと、美容院では紙やインクの消費が意外と多いでしょう。
そこでデジタルツールを使うことをおすすめします。例えば会員カードやダイレクトメールの代わりにLINEなどのSNSを使えるでしょう。またカルテの代わりにGoogleフォームを使えます。ペーパーレス化を図ることで簡単に経費削減対策ができます。
・タオルはレンタルサービスを使う
美容院と言えばタオルを何枚も使いますが、客数がそれなりにいるのであればレンタルサービスを使う方が手間やコストが少なくなります。タオルを何百枚も洗うのは大変ですし、作業の手間がかかる分人件費もかさむでしょう。レンタルサービスなら手間をかけず1枚10円ちょっとでタオルを使えますし、水道代や洗濯機のコストもカットできます。
・PRはWebサイトやSNS、アプリで行う
さきほどのペーパーレス化とも関係しますが、紙媒体でチラシを配ったり看板を出すのではコストがかかります。ですからWebに公式サイトを立ち上げたり、SNS公式アカウントを作ったり、アプリ予約システムを導入したりして広告宣伝費をカットしましょう。
3 .ホテルの経費削減ポイント
国内の旅館やホテルはたくさんありますが、2019年に予定されている消費税増税や、燃料費の高騰などが今後旅行業界の経営を圧迫する可能性があります。そこで早いうちから以下のような経費削減ポイントを意識すると良いでしょう。
・電気水道代を節約する
旅館やホテルでは大量の電気を使います。駐車場から各部屋に至るまで照明をずっと使い続けますし、冷暖房費などもかさみます。ですから電球をLED化したり間引きするなど工夫すると良いでしょう。冷房と送風を交互に使ったり、「デマンドコントローラー」と呼ばれるシステムで契約電力を低くするのも手です。
ある旅館はフロントの管内集中スイッチのインデックスに色をつけて、タイミングを見て消灯するように管理しています。また、水の使用量が多い所では「水道代1分○円」などコストを従業員が意識できるように工夫しています。
・消耗品はまとめ買いする
タオルやシーツなどの消耗品はできるだけまとめ買いしてディスカウントを利かせるようにしましょう。また、一度消耗品の仕入れ先を相見積もりなどで見直して、安い業者と契約するようにもできます。
・ITツールで人材費カット
IT社会の現代では様々な便利ツールがあります。例えばチェックイン・アウトを人手ではなく自動で行うことにより人件費をカットできます。また、夜間フロント・センターを活用して宿泊客からの問い合わせに対応できるようにして、フロントを無人化すれば経費削減できます。ITツールは様々にあるので、自社のホテルに使えるものがないか検討すると良いでしょう。
4 .工場の経費削減ポイント
最後に工場の場合を見てみましょう。日本の企業の多くは中小企業ですが、これまでの日本の発展は中小企業のものづくりによって支えられてきました。経費削減を行うことによって今後も中小企業が生き残るための道が生まれます。
・必要に応じて設備を新しくする
設備を新しくするにはコストがかかりますが、長い目で見れば経費削減につながる場合が珍しくありません。古い設備だと業務に手間がかかったり、より光熱費を浪費する恐れがあります。最新の設備なら時短で同じ作業をこなしたりエネルギーロスも少なくなります。また、メンテナンスをしっかり行うことで故障リスクを下げることも大切です。
・廃棄物の管理
ゴミの処理費用が意外と経費がかさむ原因になることがあります。工場では大量のゴミが発生するものですが、事業系一般廃棄物は0.1トンあたり、だいたい3,000円前後の費用がかかります。産業廃棄物だと10,000円近くかかることもあります。回収業者や地域によって違いますが、ゴミの量を少しでも減らすことで処理費用の削減につながります。
ゴミを減らすためにはペーパーレス化や過重梱包の廃止、分別の徹底などの工夫ができるでしょう。工場で作っているものによってもゴミ処理の工夫は変わってきますが、まずは、どんなゴミがどれくらい出ているのかを調べてみると良いでしょう。
・備品のリサイクルや中古品の購入
備品のリサイクルや中古品の購入をすることで経費削減になります。中古品でも質が良いものは新品の数割も安く購入できます。また、コピーミスやプリントミスした紙の裏側を使ってメモや社内文書のプリントアウトに使うことでコストカットできます。紙1枚は安いものですが、「塵も積もれば山となる」です。
5.まとめ
運送業、美容院、ホテル、工場という事業別の経費削減のポイントを紹介してきました。それぞれの事業別にポイントは異なりますが、共通するものもあります。例えばペーパーレス化はどんな業態でもできる対策ですし、ITツールの活用も多くの業種で有効です。まずは、身近なところから経費削減の工夫をしていきましょう。
経費削減とは、必ずしも一度に大きなコストカットを実現することとは限りません。ちょっとした工夫の積み重ねをコツコツ続けることで最終的に大きな経費削減の実現につながります。社員の意見も参考にしつつ、事業別にできることを見つけてみてください。